その伍 そうは言っても本番は来るのです。

 車に帰り、相変わらずのコンビニパンで安上がりな昼飯を済ませて一服して、さぁ出陣です。もうちょっと滑りこんでおきたかったのですが、検定滑りって普段の何気ない滑りに比べてスンゴイ疲れるんですよ。安定の代わりに体力消耗率200%(当社比)って感じです。ちょっと寝ようかと思いましたが、寝過ごす危険性もありますしそのまま一服(5服?)でいざ検定です。スクール前に行くと事前講習を一緒に受講した4人の他にまた数人増えていました。一回落ちて2度目のチャレンジなのかな?とも思いましたが、そういう人は2級で1人増えただけで、残りの人はプライベートレッスンでした。受験者は私を含め、計6人です。あれ?検定員が前回の二人と違います。検定員の豊富なゲレンデだなあと感心しますが、それだけイントラのレベルが高いということです。やっぱり私も(たぶん)人の子のようで、緊張しますね。想像通り私がトリですし(泣

 簡単な説明を受けて、死刑執行場所までゾロゾロと重苦しい雰囲気で向かいます。僅かな斜面でみんな最終チェックのように検定滑りをかましています。かくいう私もです。そして検定バーンに着くと、恐ろしい事態が待っていました。もうこりゃ何じゃ?ってくらいのコブ斜面と化しています。ボッコボコで、ちょっとでも気を抜くと板が跳ね放題です。とてもフラットに乗れる情況じゃないのです。それに対して検定員が気を使ったのか、練習していた場所より下のほうからのスタートに変更されました。これが意外と厄介です。確かに下の方がなだらかで滑りやすいとは思いますが、今まで事前講習で「ここからスタートしてココとココとココとココでターンしてゴール」というイメージを蓄積してきたものが台無しです。前走はプレターンがフロントサイドでバックサイドターンからの4回転で、私はプレターンがバックサイドでフロントサイドターンからの4回転のため、場所が参考になりません。これはトリで他の人の滑った場所を見れるから良いのかな?と思ったりします。

1級ロングターン  3級の人がドリドリしながら無事滑り終えて、第二の大事件です。2級の人が、逆エッジ全開でグラウンドフロントフリップをかましてるじゃないですか。しかも2回転。ゴーグルは吹っ飛び、ニットキャップも吹っ飛び、本人も大の字・・・幸いケガも何もなさそうでモソモソと起き上がってキャップを被り、ゴーグルを手に持って再開、無事滑り終えましたが、上で待たされている受刑者達の気持ちは判るでしょうか?私も2級で落ちたときの転倒が鮮やかに脳裏に浮かび、ちょービビリ入ります。心臓バクバクいいながら自分の番が回ってきてしまいました。心情判りますよね?もー、チョースロースピードで「転ばない!転ばない!」だけを考えてゴールです。消極的なことこの上ないのですが、転んで減点2点より、積極性なしで減点1点の方がまだましかなと思ってしまったんです。

1級ショートターン  続いてショートターンです。6人しかいないのでサクサク進みます。イントラが3人でデラがけしてくれましたが、こうも荒れてしまった雪では風呂に醤油注しです。アッサリ自分の番が回ってきます。これもまたチョースローで、踏み込みだけを意識して板を回していきました。サクッと終わりましたが、自己採点69点です。ぜーんぜんダメダメです。「3級の方お疲れ様でした」となり「2級、1級の方は総合滑走ですのでリフトを上ってください」というセリフを遠くに言ってるんだな〜とかろうじて意識していたくらい既にブルーです。

1級フリーライディング  総合滑走もやっぱりスタート地点は練習していた場所より下のほうからになり、イメージしていたコース取りはボロボロです。しかし総合滑走はターン数の規制などもなく、2種目以上が入っていればよいだけです。ここは心を決めて臨機応変に臨みます。殆どの人がロング−ショートかショート−ロングの構成です。私はショートでやばい点数(自己採点)を出していると思っていたので、もう180を入れるしか後がなくなりました。ショートで相変わらずのチョースロースピードでテレテレと板を回し、「転ばない!転ばない!」ばかり考えながらロングを数回転です。そして思った以上にスピードが落ちていますが「ここだっ!」とばかりにブラインド180°を入れ、着地が既にゴールゾーンなので緊急停止です・・・。ごめんなさい、ブラインド150°です。最後は板をずらしてました。くぅぅっ・・・。やばいっ。ほんまやばいっ。

1級エア  泣いても笑っても、最終種目、エアです。これに関しては緊張感ゼロです。あるのは危機感のみです。だって10m級をバンバン飛んでいる私が2mのテーブルトップを超えられないんですよ?イントラが一生懸命塩カルを撒いていますが、太陽に目薬です。もうどうにもなりません。とりあえず練習2本でインディはかろうじて出来ると思ったので、本番もインディにします。そこで最後の試練です。もう1人の受験者が、着地でシリモチをついちゃったんです。ぎゃー!これ以上私をビビらすのはやめてくださーい!心を決めてスタートです。キッカーが近づいてきます。近づいて、近づ・・・いてこない!スピード遅すぎ〜!うりゃっ!(0.5秒インディ)ガツッと着地です。もちろんテーブル落ち。まあ安定性100%ですけど、一番稼ぎたいエアでこれじゃあホントどうしようもないです。せめてホットワックスかけてくるべきでした。

 人数が少ないためか審査が早く終わるだろうということで、合格発表は15時からです。スクール近くのレストハウスに行ったら、既に14時50分です。色々と反省点を考えながら実刑判決を待つ受刑者です。しかし終わったという気楽さは多少ありましたね。実力を出せなかったのも実力のうち、雪質が悪いところでも実力を発揮できないのも実力のうち。全ては結果が問題であり、後は何を言っても言い訳にしかならないのです。と考えてみても、やっぱ色々悔やむんですよね人間って生物は。

 さて、もうサックリ結論から言いましょう。ロング70点、ショート69.5点、総合滑走70点、エア70.5点、平均70点の合格です。ギリギリですが、合格です。結果を聞いた瞬間「ふぅ、受かった」という安心感があったのです。だがしかしBUT、時間が経つごとに悔しさが込み上げてきます。え?受かったのに何が悔しいのかって?色々とありますが一番はショートの69.5点です。用は「私の滑りは自他共に認めるレベル」ということを証明するためのバッジテストだったわけです。しかしショートで合格点を下っているということは、言い換えればショートは未だ1級の腕前に至らないということじゃないですか。エアはどんなにしょぼくても加点されるのが当たり前なんです、本職なんですから。だのに滑りを認めてもらうための検定でエアで稼いでどうするんですかツェット(汗

 受かったから言える文句なのかもしれません。落ちている人から見たら贅沢な文句なのかもしれません。しかしそうとはいえ、私はもう二度と1級を受けることはないということです。要するに私には生涯「ギリギリ1級」というのが付きまとうんですよ。もう一度受けて今度は73点出すぞ!とかいうわけにはいかないんですよね。落ちてしまえば再試験で稼ぐことも出来ますが、受かってしまったら次は無いんです。そんなわけで、帰りの車でもかなーりブルー入ってました。鈴木さん(仮称)が頭の中で冷めた口調で語ります。「はいはい、そんなもんでしょオマエの実力は。」この鈴木さん(仮称)のセリフに佐藤さん(仮称)がぶつかります。「そうじゃないでしょう?何点なんてものは二の次で、合格不合格が問題なんでしょう?ショートで73点出したって落ちたら意味は無いですね。70点ギリギリでも、合格は合格です」おお佐藤さん、相変わらずエエこと言います。そうなんです。shiraの72.5点に踊らされていて、目的が釈然としていませんでした。そうです、私は1級合格者です!(エッヘン)文句があるなら1級受かってみなさい!(エッヘン)でもやっぱり複雑な心境。でも何はともあれ、めでたく私は1級所持者です。早くバッジ来ないかなぁ?

 ・・・しかし全然滑りを極めた気がしないぞ?次はSAJの1級にチャレンジするべきか、SIAの1級にチャレンジするべきか、JSBAのC級インストラクターを目指すべきか・・・

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