その四 ライバルより少しでも先に受験するのです。

 しかしこの忙しい決算時期にそうそう会社を休めるはずもなく、受験は延び延びになり焦りが出てきました。何しろ平均72.5点を出したshiraも本職は飛びであり、1級になってエアが増えたからって加点はあれど減点はされるはずもなく、1級を受験したら受かること間違いないからです。また、知人にノブというヤツが二人ばかりいます。二人とも今年、1級合格しています。ノブって名前は滑りが上手いのか?くらいの勢いです。でもそれだけではなく2級を保持している知人も既に何人かいます。用は既に2級合格なんて上手いのうちに入らないんですよ、もう。「滑りなんてもうどうでもいいんだよ、なあ!」という一言を言いたいが為に、結構色々苦労しますし金もかかりますホント。

 さて、何だかんだで1級受験当日です。先日の無理スケジュールの失敗を考慮して、仕事から帰ってきたらまず家で仮眠です。現地に8時に到着すればいいわけですから、逆算して3時くらいまでぐっすり?眠って、さあ5時間ドライブです。何?その5時間下道をやめればもうちょっと寝れるんじゃないかって?確かに高速道路を使えば2時間半程度で着くかもしれません。しかしだからといって5時半に出発したら8時に着くかというとそんなことはなく、その時間帯だと既に朝ラッシュに巻き込まれてもう1時間は余裕をみないといけなくなってしまいます。そしてこれが肝心というか一番の理由なのですが、日本の高速道路は高すぎることです。片道\5Kですよ!?仮に5時間が2時間半になったとしても、2時間半を\5Kで買うわけです。つまり1時間を\2Kで買っているわけです。私は年俸制の給与体系のため、どんなに仕事しようがどんなに残業しようが、収入が増えることは一切ありません。それは一体どういうことかというと、仮に高速を使って\5K払ったとします。残業で稼げる年齢だった頃は「今度3時間残業すりゃいいや」で済んだことなのです。しかし何をしようが収入が一定で増えることのない場合、頑張っても入ってこないわけですから、どこかで支出を抑えないとお金は余らないのです。つまり私にとっての5時間ドライブは、スノーボードという遊びの前の、時給\2Kのアルバイトなのです。世の中どんだけ探しても、この不況時に時給\2Kのアルバイトなんてナカナカないですよ。

 という理屈を以って自分を動かす原動力とし、8時丁度くらいにゲレンデに到着です。眠いことに変わりはありませんけど、前日の夜に季節外れの雪が降ったようで、道中辺り一面に季節外れの銀世界でした。久々の銀世界が朝の日照りで少しずつ溶け出しキラキラ輝いていて、ワクワクしちゃったりします。到着後さっそくスクールにバッジテストの申し込みに行きます。先日届いたJSBA会員証と2級合格証を見せて、前回来た時から考えていた検定パックなるものに申し込みます。検定パックとはこのゲレンデオリジナル商品で、事前講習+検定料+リフト1日券をセットでナンボという割引ですね。通常にこの3点を申し込むと間違いなく\10Kを超えるのですが、\8K〜\9K程度で済むのです。検定に理解のあるゲレンデでは結構こういったパックがあるようですので、もしバッジテストを受けてみようと思う方は、こういうパックがあるゲレンデを探してみると安上がりだと思いますよ。

 バッジテストの申し込みは確か10時までなのですが、前回の2級受験の際にトップバッターで、ウダウダと考えずに滑ったらウマいこといったので、とにかく今回も一番に滑りたかったからこんな早くに行ったのです。が、渡されたゼッケンは77番、まーたゾロ目です。しかしすんげー後発の匂いプンプンです。そんなに受験者が多いのかと不安になりながら、前回同様で縁起の良さそうなゾロ目なのでホッとしたりで、非常に複雑な心境です。

 とりあえず事前講習の前に身体を慣らしておきたいと思ったくせに何となくのんびりと準備して、いざゲレンデに出陣です。またこれも前回の教訓なのですが、朝はアイスバーン、昼はシャビシャビになるだろうと思っているので、朝のうちはあまり型を気にせずにトローっと滑ります。でも何か足が浮腫んでいるようで、足が痛くてかなわんのです。ブーツの紐を締めすぎたかなとも思いましたが、とりあえず下までゆっくりと身体を慣らします。一番下に着いた頃にはシャレにならないくらい足が痛くて、ソッコーでバインディングを外して靴紐を緩めます。この間たった5秒、BOAサイコーです。しかし痛くてスクール前まで歩けない・・・大丈夫か自分?

 スクール前にはゼッケンを手に持ってうろうろしている人が何人かいました。やっぱり皆ゼッケンをつけるのが恥かしいのでしょうか。しかし私は1級の青ゼッケンなので胸を張ってゼッケンを早々と付け、「おらぁ1級の受験者だぞぉ」という態度で一服します。事前講習は別に緊張することもないでしょうに。しかし何だかんだ言って集まってる人が多いです。ひぃふぅみぃ・・・10人以上いるじゃないですか。事前講習が大人数だと自分を見てくれる時間が減ってしまいそうであんまり嬉しくないんですけど、こればっかりは仕方がないですよね。そして10時半、インストラクターがぞろぞろと出てきました。ぞろぞろと。多いなイントラ!軽く説明があり、リフト前まで連れて行かれ、準備体操です。既に滑ってきて身体を慣らしている私にはかったるいことこの上ないのですが、こういうところをしっかりやるのがスクールってものですよね。思えばこんなにしっかり準備運動をして滑ったことなんて今まで無かったなぁ。

 準備運動が終わるとプライベートレッスン、初心者レッスンと何人かポロポロと連れて行かれます。残った5人が本日の事前講習者のようです。3級1人、2級2人、1級も私を含めて2人の計5人です。イントラがあと1人しか残っていないのでまさかとは思いましたが、この5人を1人で教えるようです。さ、3級から1級まで1人で?と思いましたが、まあ5人なので仕方が無いのでしょう。ぞろぞろと連れられリフトで上にあがり、早速検定バーンです。さくっとイントラがロングターンで滑り、その後3級、2級、1級の順番で滑り、イントラの指示を仰ぎます。予想したとおり、もう1人の1級受験者は10番台で、私がトリです。受験もトリかYO!とちょっと悲しくなりましたが、もうこればっかりは仕方が無いですよね。待っている間に色々と考えてしまうので、本当にイヤなんですが・・・。

 えー、想像したとおり、所詮3級、2級の受験者です。もうダメ出し食らいまくりです。一向に私の順番が回ってきません。やっと自分の順番が回ってきたと思ってロングターンをかまします。荒れてはいますがまだまだ走れる程度なので自分でもイイ感じに乗れます。滑り終え、イントラから指示を仰ぎます。「いいですね!一点、いいですか?こういう荒れた斜面だと前足加重の時間を極力短くしないとつんのめってしまいます。やっぱりゲレンデ状態に合せて滑ることが重要ですので、新雪を攻めるような後ろ加重で、左足を伸ばして乗ってみてください」おお、何か新しいです。今までは「足を曲げて重心を落として」といったようなものを教わってきたので、左足を伸ばすだなんて意外でしたね。

 そして今度はショートの練習です。再びぼってり待たされます。時間だけが刻々と過ぎていき焦りがちょっと出ますが、こればっかりはホントどうしようもないです。そして自分の番。しっかりと踏んで暴走だけはしないようにと板を回していきます。かなりドリフっているのが自分でよく判るのですが、イントラ曰く「それでいいです」なんだそうです。検定のショートターンはスピードに乗ることが重要なのではなく、リズムに乗ることが重要で、特に1級は「立ち上がり指定」があるので下半身だけのエッジングカーブより上半身の加重抜重をしっかり入れたドリフトカーブのほうが良いのだそうです。うーん、勉強になる。何か今日の事前講習は本当に勉強になります。いい先生に当たった!

 再びリフトで上り、同じ検定バーンで総合滑走の練習です。かなり雪も溶けてきて、昨日降った雪はどこへやら状態です。今回も2級と同じ構成のショート−ロング−ショートで行こうと考えていました。最初のショートで暴走を抑え、ロングでゲレンデを一杯に使った滑りを見せ、最後のショートでスピードに乗ったターンをと思っていたからです。いざ自分の番です。やっぱり急斜面からのスタートの為、ショートをしててもじゃんじゃんスピードが乗り始めます。しっかり踏み込んで板をずらしてから、ロングターンに入ります。このロングで先ほど教わった左足伸ばし滑りを試みます。すっごいデッチリ(出尻:シリだけ出っ張っている悪い姿勢)な気がするのですが、確かにコブが気にならないくらいキレていきます。いい感じです。しかし前半でスピードを押さえ過ぎたせいでしょうか、後半スピードが全然なくなってしまい、ゴールまでまだ結構あります。自分でも何を思ったのかサッパリ判りませんが、いきなり身体がブラインド180°をやったのです。着地も安定し、しっかりと停止します。イントラべた褒めです。「いいですね!バックサイドのカービングもいい感じです」いやぁ、えへへ♪「では次はまたショートの練習です」・・・っておーい、私へのダメ出しは?おーい・・・

 次のショートも前の人たちは色々と言われています。私の番になり、サクサクっと滑ります。「いいですね!しっかりと踏めています。」とニコニコと言います。そして「じゃあもう一回行きましょうか。」・・・お、おーい!わ、私へのダメ出しは?何か色々言われすぎるのも自信がなくなってきちゃいますが、こうもなーんも言われないと無茶苦茶不安になります。もうちょっと何か教えてくれえ(滝汗

 次も同じバーンで総合滑走をやり、同じように滑り、ブラインド180°を同じようにキメます。こんなのやるつもりは無かったのに、さっきのイントラのべた褒め&もうこの程度の斜面&スピードなら180°くらいじゃ転ばないと自信を持ってきたので、本番でも180°を入れることにします。こうやって調子に乗って本番で失敗しなければいいんですけどねぇ。滑っている間、下からイントラが私を指差しています。う、なんかやばいかな?とか思っていましたが、下に着くと「という感じです。」ワケわかんねー!(汗)と思ってそのまま話を聞いていると、アンギュレーションの入れ方、胸の開き方、倒し方を私を参考にして他の人に教えていたようです。おお、私は見本になるくらい上手いのか!とテングになりかけですが、慢心だけはしないよう一緒になってイントラの説明を聞きながら体勢の再確認をします。そして相変わらず私へのダメ出しはなっしんぐです。良いのか悪いのか。

 ここで3級2級の方々は終わりで、1級組だけでエアの練習のためにキッカーへ向かいます。ここで大事件です。本職が飛びな私はこんなチビキッカー、目をつぶってても余裕(もちろん比喩です。良い子は真似しないように)だと思っていたのですが、キシキシの雪面と言いましょうか、シャビシャビになる直前のような雪質で、助走が全く乗りません。というかブレーキかかってんちゃう?って感じです。さすがの私も助走がなければタダの人、キッカー登りきるか?みたいなスピードで無理やりオーリーをいれます。0.5秒くらいのインディです。な、なっとくいかねー!とその後何本か練習しましたが、ほんまやばいです。イントラ曰く「安定していればそれでいいです。こんな雪質ですからね」とのこと。でもそれじゃあ加点を稼ぐ事も出来ないじゃないですか。かなり先行き不安になってきたところでレッスン終了です。うー、やばい。やばいっすマジ。ん?待てよ?考えてみると、おおもとのバッジテストを受けるというキッカケは、滑りはこんなもんだ!ということを見せ付けるためじゃないですか。だとするとエアは70点でいいんです。その他で稼がなければならないわけです。まあそれでも本業の飛び職人としては納得いかないですけど、こんなキッカーじゃ何にも出来ないのも事実ですし。

つづく

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