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2004 年 03 月 08 日(月)

 見てみぬ振りをするようになったのはいつからだったか覚えていませんが、東京砂漠に住み慣れてきたジプシーとしては、見て見ぬ振りをしないといけない場合が多いんです。

 その日もあいも変わらず朝ラッシュから始まりました。もう一杯いっぱいの電車に体当たりして乗り込んで、無理やりドアを閉めてもらって電車が動き出して、ふう、と一息をついたときです。隣でサラリーマンに挟まれているOL風の女の子が「っくしっ」と音にならないような音のくしゃみをしたのです。別に気に留めてたわけでもなく私の体の角度から何気なくそのくしゃみが視界に入ったのです。な、なんと、女の子の鼻から、その女の子の前に立っているサラリーマンのコートに見事な橋・・・鼻水の橋(5cm/目測)が完成していました。女の子は慌てて自分の手を出そうとしているのですが、いかんせん体当たり上等の満員電車です。暴れどもがけど動けそうもありません。女の子が顔を真っ赤にしながら駅に着くまでの3分ほど、私はあまりにもわざとらし過ぎる社内釣りに夢中ポジションを続けなければなりませんでした。駅に着くと自然とまた見てしまい、サラリーマンは背中に鼻水をつけたまま満員の人々に挟まれながら、会社へと旅立ってゆきました。その後私がその女の子から遠ざかったのは言うまでもありません。

 私が思うに、東京砂漠は人情なのです。


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